防犯カメラをアパート、マンションに設置する前に知っておく大切なこと
スマートフォンのカメラ性能が飛躍的に向上した時期から、防犯カメラも映像がより鮮明で多機能になり、しかも価格が安くなっています。
設置工事も不要な防犯カメラも多く発売されており、初期費用も昔に比べて格段に安くなっているため、アパート、マンションに防犯カメラを設置する物件が増えてきました。
アパート、マンションに防犯カメラを設置することで、犯罪の抑止力や、入居者のルール違反の是正効果のほか、安心・安全な物件として賃料のアップや、空室率を減らす効果もあります。
防犯カメラ設置によるメリットや防犯効果、防犯カメラを設置する際の注意点や知っておいた方が良い点を分かりやすく解説しますので、是非、最後までご覧ください。
アパート、マンションに防犯カメラをつける意味とは?
防犯カメラの効果や役割を知ることで、防犯カメラを設置するアパート、マンションが増えている理由が分かります。
防犯カメラの犯罪抑止の効果はどれぐらい?
日本の刑法犯罪件数記録では2002年から2015年にかけて犯罪件数が6割減少(減少分の9割は窃盗)しました。
警察は犯罪減少の理由を「防犯カメラの増加」との見解を発表しています。
さらに防犯カメラを設置することで、周囲の治安も良くなることが大学の研究により分かっています。
逆に防犯カメラが少ない地域や物件の犯罪が増える「犯罪の転移」が発生するケースもあります。
犯罪者がいかに防犯カメラを気にしているかが分かると同時に、防犯カメラが高い犯罪抑止効果を発揮していることも分かります。
防犯カメラは犯罪やイタズラの記録に役立つ
自動車のドライブレコーダー同様に、犯罪やイタズラを映像で記録できるのが防犯カメラの良い点です。
映像で記録できるため、駐車場や駐輪場でのイタズラや盗難、ボストを荒らされた時の証拠として役立ち、犯罪やイタズラを早期に解決することもできます。
住民のルール違反の是正効果
管理会社、管理人にとって大変なのが、住民トラブルやルール違反です。
防犯カメラは、ゴミ出しや共有部分の利用ルールを守らない住民に対して是正させることも可能です。
住民同士のトラブルに発展した場合も防犯カメラの記録映像が証拠となり、大きなトラブルに発展する前に解決することができます。
入居率の向上、管理会社の収益アップに
賃貸マンション、アパートに防犯カメラが設置されていれば、不動産仲介業者も安心・安全な物件として女性やファミリー層に勧めやすくなります。
また、防犯カメラを設置することで、防犯管理費用として管理会社の毎月の収益になるケースもあります。
高い防犯効果もあり、入居率や収益のアップも期待できるのが、アパート、マンションに防犯カメラを設置する最大のメリットです。
防犯カメラのリースと購入、どちらがお得?
防犯カメラをリースして利用する方法もあります。防犯カメラのリースと購入の特徴やどちらがコストが安くなるかをご紹介します。
防犯カメラをリースするメリット・デメリット
防犯カメラを購入する必要が無いため初期費用を抑えることができますが、見積もり費用や保険料、設置費用などがかかるリース会社もあります。
リース期間中は故障した防犯カメラの交換やトラブルにも対応してくれるので、防犯カメラを管理する手間がかかりません。
設置される防犯カメラは最新で新品の防犯カメラとは限りません。古い防犯カメラや中古の防犯カメラを設置するリース会社もあります。
長期間リースすると購入より割高になりますので、コスト優先の場合はリースはお薦めできません。
「防犯カメラの初期費用をできるだけ抑えたい」「防犯カメラの管理する手間を軽減したい」場合はリースがお薦めです。
防犯カメラを購入するメリット、デメリット
防犯カメラを購入するためリースよりも初期費用がかかってしまいますが、新品の防犯カメラを選ぶことができます。
防犯カメラを長く設置するほど購入の方がお得になりますが、保証期限を過ぎて故障した場合は再購入となります。
防犯カメラを2~3年以上利用する場合は購入の方が安くなることが多いため、防犯カメラは耐久性があり、設置コストが安いネットワーク型の防犯カメラをお薦めします。
補助金を利用した防犯カメラの設置
防犯カメラ設置に補助金や助成金を支援してくれる自治体もあります。
防犯カメラに関する補助金の情報は、各自治体のホームページに記載されていますのでご確認ください。
例えば、東京都中央区の場合は「防犯設備整備費助成」が用意されています。
マンションの場合は50万円を上限として防犯カメラ設置費用の50%の助成金が補助されます。
補助金や助成金の申請は、防犯カメラ設置前に申請する必要がある点を注意してください。
また、年間の予算枠が決まっているため、できるだけ早く申請することをお薦めします。
アパート・マンションの防犯カメラを設置する場所
防犯カメラの設置は、設置する目的、防犯カメラのタイプ、周辺地域の状況を考慮して、設置場所を決めていきます。代表的な防犯カメラの設置場所をご紹介します。
犯罪者の侵入抑止したい、部外者の侵入を記録したい
エントランス、出入り口、外周、エレベーターが主な設置場所になります。
出入り口や侵入経路が複数ある物件の場合は、侵入できる箇所にも防犯カメラを設置することでより安全性が高くなります。
いたずらや盗難を防止したい
駐輪場、駐車場、エントランス、ポスト周辺が主な設置場所になります。
住民トラブルを防ぎたい、ルール違反を是正したい
ゴミ置き場、駐輪場、駐車場が主な設置場所になります。
防犯カメラはアパート、マンションの大小に関わらずエントランス、出入り口に設置するケースが多いです。
駐車場や駐輪スペースがあるアパート、マンションの場合は、駐車場や駐輪スペースの盗難予防として防犯カメラを設置するケースが多くあります。
防犯カメラの設置工事や設置の注意点
一般的に防犯カメラを設置する場合、防犯カメラと記録機器を接続するために、カメラ本体の設置と通信用ケーブルを引くための工事が必要なります。
そのため、大規模な工事が不要なネットワーク型の防犯カメラが人気となっています。
ネットワーク防犯カメラは、インターネットを使って映像の表示や保存をするため、防犯カメラと記録機器をケーブルで接続する工事が不要になります。防犯カメラの設置費用が非常に安くなります。
隣家まで撮影しないように注意
カメラの角度によっては、隣家まで撮影してしまう場合があります。
これはプライバシー侵害になる可能性がありますので、カメラの角度に注意してください。
死角が無く、隣家を撮影しない設置角度が難しい場合は、プライバシーマスク(特定の範囲以外は撮影されなくなる機能)を活用する方法があります。
防犯カメラ設置を防犯設備士に相談する
効果的な防犯カメラの設置場所が分からない場合や、死角ができないように設置するのが難しい場合は、防犯設備士に相談するのも良いでしょう。
防犯設備士は、防犯カメラ設置のアドバイスから、設置後の運用方法や管理方法などもアドバイスしてくれます。
防犯カメラ販売業者や設置業者と合わせて、防犯設備士を利用すると良いでしょう。
防犯カメラとプライバシーの問題
防犯カメラは入居者のライフスタイルも記録してしまうため、防犯カメラのプライバシーが問題になることがあります。
防犯カメラの設置は、基本的にアパートのオーナーや、マンションの管理組合に権限がありますので、オーナーや管理組合でプライバシーの侵害にならない防犯カメラの運用ルールを決めておくと良いでしょう。
一般的なアパート、マンションの防犯カメラを運用するルールには下記のような項目があります。
- 映像の守秘義務の誓約
- 防犯カメラを設置する目的の明示
- 映像の保管期間(1ヶ月~90日など)
- 映像を確認できる人物(役員立ち会いのもと映像を確認できるなど)
- 映像の外部持ち出しの有無(目的や許可する人物など)
上記のルールを防犯カメラ設置前にガイドラインとして予め用意しておくと良いでしょう。
また、防犯カメラを設置することを住民に知らせることや、防犯カメラが設置していることが分かるステッカーを貼るのもお薦めです。より防犯効果も高まり、プライバシー侵害の苦情を防ぐこともできます。
防犯カメラ設置前のまとめ
アパート、マンションに防犯カメラを設置前に注意する点をお伝えいたしました。
- 防犯カメラを設置することで、入居率アップや管理費のアップ、住民トラブルを防ぐなどの効果が期待されます。
- 防犯カメラ設置に自治体の補助金や助成金を利用することができます。
- 防犯カメラは長く使うならリースより、購入の方がお得です。
- 大規模な設置工事が不要で設置工事が安いネットワーク型の防犯カメラがお薦めです。
- 防犯カメラの設置前に運用ルールを決めておきましょう。
今回の情報がアパート、マンションの組合、管理会社の方にお役に立てれば幸いです。